メデイアにだまされない
国民にかわって真実を喝破するのがジャーナリズムの真髄だと、
以前は僕もそうとらえていましたが、どうやら現実はそうではないようです。
”強き””を”をくじき”弱き”にくみする、それがメデイアの大きな使命の一つです。
社会の良心だと僕はとらえていましたが、
反対に”弱き”をくじき”強き”にくみするのが、
最近の、少なくともメジャーなメデイアでやっていることのようです。
医療における弱者は、言うまでもなく患者さんです。にもかかわらず、
患者さんの視点で書いた記事、あるいは患者さんの声をじかに聞いて
ありのままに書いた記事はほとんどありません。
皆さんも探してみるとよくわかると思いますが、どこかに何か着色してあります。
僕は時々、新聞やテレビの取材を受けることもありますが、
患者さんの視点で記事を書いてください、
あるいは患者さんとよく話をして、ぜひ本音をくみ取って記事にしてくださいと
リクエストするのですが、たいていはボツになってしまいます。
別に記者が書いた記事の内容に問題があったわけではありません。
記者の方たちも社会的な使命にかられて真剣に、
本当のことを書いてくれます。問題は、記者が真剣に書いた
記事を決裁する上司の資質なのです。
僕も最近はそのあたりがよくわかってきました。本当のことは
基本的には、メジャーな記事にならないのです。
メジャーな記事になるのは、筋書きがすでにできているフイックションです。
その筋書きと僕たちの意向がたまたま一致すれば記事になりますが、
そうでなければ記事になりません。
僕自身がかってはジャーナリストにあこがれていましたので、
その凋落ぶりには非常に失望させられます。
また、最近では医療をめぐる討論が、あちこちテレビ放映されています。
それだけ大きな関心をあつめているのでしょうが、
そのテレビ討論会も、まともに聞いていると馬鹿を見るかもしれません。
僕も以前は真摯な議論を期待して真剣に見ていたのですが、
すべて期待はずれでした。
ゲストの方が、日頃の言動や著書などからそれなりに評価していた
人たちだっただけに、そのショックは少なくありませんでした。
茶番か、それが本音なのかは別として、いずれも的外れな議論ばかりでした。
よく考えてみれば、番組が筋書き通りに進められるのは当たり前のことです。
しかし、そうなればゲストもコケにされたものです。
さらには、真剣に見ている人たちは一体何なのでしょうか。
メデイアは医者や医療の良し悪しを判断するときの目安には
ならないということを皆さんにお伝えしたかったのです。
なぜなら、メデイアの良心を信じ、ことの良し悪しをメデイアを通じて
判断しようとする人も、まだまだ数多いのが日本の現状だからです。
もっとも、しっかりと自分の頭で判断するという姿勢があれば、
メデイアがどうであろうと、あまり問題はないのかもしれません。
読者に感銘を与えたベストセラー
これは「9割の病気は自分で治せる」の引用文献です。
著者 岡本 裕 医学博士