身の丈で生きるのがいい
「見栄は張らない」ということは、実は私自身の反省でもあります。
妻を亡くしたのが60歳を過ぎてからですが、
それからというものは寂しさのあまり、
結婚相談所に飛び込んで、さまざまな女性との見合いを重ねて、
寂しさを紛らわす毎日が続きました。
家に一人でいると気持ちが沈んでいくので、誰かと会っているときを
多くしておくことでその時間を短縮していたわけです。
友人や知人が、この心の病んだ私をそうはいつでも相手にはしてくれません。
こうなると、人間は正常心を失い、航行不能の状態になるようです。
そのころ私が行った浪費は、見合いの度に相手の女性に
フルコースの食事をご馳走して、一時の楽しい時間を持つことでした。
結婚するとか、好きだということになる前にそこまでする必要はないのですが、
私は見栄を張ったのでしょうか。いつもそうしていたような気がします。
さらに、決定的に決まったわけでもないのに、エンゲージリングを
プレゼントして、あとで断られてむだになったことも何回かあります。
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娘の将来も心配だったので、「私は結婚しない」というのを真に受けて、
それでは家は借りていないで自分のマンションを持ちなさい、
ということで私の有り金をはたいて
娘にもローンを組ませて1LDKのマンションを買ったこともありました。
娘は間もなく「お父さん、結婚します」と言いだして、
「なんだ、もっと早くいってくれ」といっても後の祭り。
「そのときは決まっていなかったんだ」と反論される始末。
おかげで、肝心の結婚式に出してあげるお金がほとんどなく、
恥をかいてしまいました。
こんな私の失敗を参考にしていただいて、もっと冷静な
「老後」を送ってくださいね。
大切なのは身の丈の生き方、楽しみ方をするということです。
無理をしたり、見栄を張って、借金に手を出すと、
暗い老後になってしまうでしょう。
ましてやいい歳をして、親戚に「お金を貸してほしい」などは、
あまりきこえがおくないのでやめましょうね。
引用文献
61才から始める 老いても枯れない生き方
著者 日向野 利治
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