明治維新から150年を記念して
林真理子のNHK大河ドラマ西郷どん
歴史学者磯田道史に勧められて
見事に書き上げた原作の
最高視聴率は15,5%
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自ら愛するを以て敗るるぞ
「総じて人は己れ克つを以て成り、
自ら愛するを以て敗るるぞ。
能く古今の人物を見よ。事業を創起す人
其事大抵十に七八迄は能くなし得れ共、
残り二つを終える迄成し得る人の稀なるは、
始は能く己れを慎み事をも敬する故、
功も立ち名も顕るるなり。
功立ち名も顕るるに随ひ、いつしか自ら愛する心起り、
恐懼戒心慎の意弛み、
驕矜の気漸く長じ、
其成し得たる事業を負み、苟も
我が事を仕遂げんとてまづき仕事に陥いり、
終に敗るるものにて、皆自ら招く也。故に己れに克ちて、
賭ず聞かざる所に戒慎するもの也」
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(「遺訓」二十一項)
(すべて人間は己に克つことによって成功し、
己を愛することによって失敗するものだ。
よく昔からの歴史上の人物をみるがよい。
事業を始める人が、その事業の七、八割までは
たいていよくできるが、残りの二、三割を終わりまで
成し遂げる人の少ないのは、はじめはよく己をつつしんで
事を慎重にするから成功もし、名も現れてくる。
ところが、成功して有名になるに
従っていつの間にか自分を愛する心が起こり、
畏れ慎むという精神がゆるんで、
おごりたかぶる気分が多くなり、
そのなし得た仕事をたのんで何でもできるという
過信のもとにまずい仕事をするようになり、
ついに失敗するものである。
これらはすべて自分が招いた結果である。
だから、常に自分にうち克って、人が見ていない
ときも自分を慎み戒めることが大事なことだ)
これは『遺訓』にある西郷の言葉である。
高杉晋作は「史伝に列伝する英雄豪傑は死を
もって皆、度外に置く」と言い、
自ら生命を軽ずる気魄をもって行動した。
命を捨てるという覚悟にまさるとも劣らず
できないのが己を愛さないということである。
人間である以上は自分が大切であり、
かわいい。己を愛さないというのは、
毎日毎日一分一秒の我欲との戦いである。
死ぬまで止むことはない。歴史上の人物と
いえどもこの戦いに勝ち続ける人間は少ない。
豊臣秀吉の晩年は見苦しく憐れでさえある。
秀吉といえど十のうち残り二つを
仕上げることは難しいことであった。
「自ら愛するを以って負るるぞ!!」。
西郷が大久保に言っているようである。
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まとめ
西郷は覚悟して己を愛さないを歴史上の人物から学んでいた。
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