2013年ベストセラーランキング第一位
菊池寛賞受賞 書籍のご紹介をします。
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もしも「動脈瘤破裂の危険性がある」といわれたら
日本では1980年までの30年間、脳卒中(脳梗塞、脳出血、
くも膜下出血など)が死亡原因の1位でした。
今も脳卒中で亡くなる人の数は、ガン、心臓病、肺炎に次いで4位です。
脳卒中の多くはある日突然、血管が詰まったりして起きます。
半身不随などの重い後遺症や、死に至るリスクも、とても大きい。
そこで、脳ドックで検査を受けている人も多いですね。
脳ドックは、MRI(磁気共鳴画像)検査や血液検査などによって、
脳の病気の危険因子を見つけるための健康診断。
しかし、脳ドックは害の方が大きいことが、はっきりしてます。
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世界初の脳ドックは、1988年に札幌の脳外科医が開設しました。
「未破裂の動脈瘤(動脈壁の一部がコブ状になったもの)を見つけて処置したら、
脳卒中をを減らせる」という思いこみがあったようですが、
データの裏付けはありませんでした。
脳ドックは、日本だけで普及しました。これは「日本には約5千人の脳外科医がいる。
米国には約3200人,欧州諸国は百人」(1999年、日本脳神経外科学会)、つまり、
脳外科医が多すぎるから、失業対もあったかもしれません。
新聞などで紹介されたエピソードがあります。65歳の女性が脳ドックを受けたら、
「脳の血管にぷっくり膨れた脳動脈瘤がある。
運が悪いと、明日にも破裂するかも。
手術でそれを防げる。
破裂の危険より手術の危険のほうがずっと低い。受けますか?」
手術を選んだ女性は術後、右半身がマヒして言葉も出なくなり、2年たっても
自力では起き上がれない人生に、執刀医は術後に「手術しなければよかった。
破裂の可能性は1~2%だった」と言ったそうです。
医者の「まずまず」は、車椅子や寝たきり状態のこと
脳ドックで見つかる1㎝未満の動脈瘤の年間破裂率は、0,05%・・・20年たってようやく1%。
これは欧米の53施設が共同で、未破裂動脈瘤をもつ患者2621人を調査した結論です。
1998年に、総合医学雑誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン』が
報じました。世界で最も広く読まれ、医療界に影響を与える医学誌だけに、
世界中のメディアが取りあげ、各国で手術を断る患者が続出しました。
しかし日本では、その3年後に脳外科医にアンケートしたら、6割が
「1㎝未満の動脈瘤の年間破裂率は1~2%]と患者に説明し、
「0,05%]と説明していた医者は2%だけでした。(2001年、日本脳ドック学会)。
手術はロシアンルーレット
脳ドックで「未破裂脳動脈瘤があります」と言われたら、
誰でも落ち込み、手術をしたくなる人も多いでしょう。
しかし、手術はロシアンルーレットのように危険です。
だとしたら、自覚症状もないのに脳ドックに行かないことです。
「破裂する動脈瘤は、発生して42週以内に破裂する」という説もあり、
破裂する運命を止められる可能性は、事実上ないに等しいようです。
引用文献
第60回菊池寛賞受賞者
2013年ベストセラーランキング第一位
医者に殺されない47の心得
医療と遠ざけて、元気に、長生きする方法
著者 近藤 誠
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