2013年ベストセラーランキング第一位
菊池寛賞受賞 書籍のご紹介をします。
野菜は本当に体にいいのか?
「ビタミンやミネラルは、生きていくのに絶対に必要な栄養素。
でも、体の中でつくることができません。
日々、外から摂らなければならないのです」ビタミン・ミネラルを何かで補わなければ、
と錯覚する警告が世にあふれています。
結論から言えば、
日本で普通の食事を摂っている人は、ビタミンもミネラルも十分足りています
健康のために付け足すのは、むしろ有害です。摂りすぎると中毒症状が出たり、
ガン、心臓病のリスクが高まり、早死にの原因になることがあります。
1990年代にフインランドで、大規模な栄養介入試験が行われました。
男性喫煙者2万9千人を、合成ベータカロテンを与える群と偽薬群に分けて、
5~8年間に肺ガンになる人を追跡しました。
結果は、予想を完全にくつがえすものでした。
ベータカロテン群より肺ガンの発生率が18%増加し、肺ガンと心臓病による死も増えて、
飲まない群より総死亡率が8%高くなりました。
途中で「これを続けたら肺ガン患者を人為的に生むことになる」と、試験が打ち切られています。
一方、米国ガン研究財団と世界ガン研究基金が各国の500に及ぶ研究論文を基にまとめた
「ガン予防と食生活等の関連」では、野菜や果物をよく食べる人は、
肺ガンリスクが減る、と報告されています。
人工合成されたビタミンをサプリなどで摂るのは危険だし、野菜や果物から摂る
天然ビタミンも、多く摂ったから「体にいい」かどうかは不明だということです。
かって「ビタミンCの大量投与で風邪を防げる、ガンを治せる」という説が一世を風靡しましたが、原理的に無意味です。にもかかわらず、ガン治療法として、血中濃度を高める「高濃度ビタミンC点滴」が、日本でもおこなわれています。自費治療で、50gビタミンC点滴料金は2万円前後、まともな臨床実験がおこなわれたら「生存期間の延長効果なし」もしくは「有害」という結果が出るのは目に見えています。
閉経後はコンブやワカメの食べすぎに注意
ミネラルも同じです
3,11福島原発事故のあと、「ヨウ素で放射線の害を防げる」というデマが広がって、
コンブやワカメなどの海藻を毎日食べる人が増えました。
しかし国立がん研究センターは2012年「海藻に含まれるヨウ素は、生命維持に欠かせない
ミネラルだが、摂りすぎると甲状腺ガン発生の原因となる可能性がある」と発表しています。
同調査は、9府県の40~69歳の女性約5万人を1990年代から約14年間、追跡しました。
14年間に134人が甲状腺ガンになり、うち乳頭ガンが113人「海藻をほぼ毎日食べる」群が
乳頭ガンになるリスクは、「週2日以下」群と比べると3,81倍「海藻を週3~4日食べる」群も、
2日以下のグループの約2倍の女性が乳頭ガンになっていました。
閉経前の女性ではリスクの差はありませんでしたが、日本人の食生活にはもともとヨウ素が
豊富なので「過剰」には十分、気をつけてください。
引用文献
第60回菊池寛賞受賞者
2013年ベストセラーランキング第一位
医者に殺されない47の心得
医療と遠ざけて、元気に、長生きする方法
著者 近藤 誠